不動産業者だからといって、「一戸建て」の家が詳しいとは限りません。
数年前に、ある個人の方から
アパートの売却の相談を、
受けたときのお話です。
その方は、
1Rマンションなどの
投資用不動産の購入で、
お世話になった不動産会社に、
最初、アパートの売却相談を
されたそうです。
諸々相談をしている中で、
ある時、その不動産業者から、
「私は土地のプロですから!」
と言われたとのこと。
投資用不動産の購入では、
信頼をおいていた業者であり、
「土地のプロ」と
自信を持って言っていたので、
まずは売却にあたっての調査を、
その不動産業者に依頼したそうです。
そのアパートは、
北側と西側の道路が交差する、
角地にあった物件だったのですが、
西側の道路が私道だったにも関わらず、
「どちらも公道です」
と調査報告があったそうです。
その報告を信用し、
売却の手続きを進めていたところ、
あるとき、
西側道路に私道持分があることが分かり、
「この業者は本当に大丈夫なの?」
と疑問に思い、
私のところへ相談に来たということでした。
一戸建てやアパートなど、
土地を取引している業者なら、
道路が私道かどうか?
私道持分があるかどうか?
という調査は、
基本中の基本ですので、
まず、間違えたり、
見落としたりすることはないでしょう。
ところが、
このエピソードに出てくる不動産業者は、
投資用の1Rマンションを
専門に取り扱っている業者であったために、
土地や道路についての調査・確認が
不慣れであったと思われ、
誤った報告をしてしまったと推測されます。
一見すると、
お粗末なお話のように聞こえますが、
このエピソードは
決して珍しいことではありません。
不動産といっても、
不動産の種類には多くの種類があります。
一戸建て、マンション、土地といった、
基本的な分類のほか、
売買、賃貸、管理といった業務別、
居住用と事業用といった利用目的別、
売主、仲介、代理といった取引態様別、
家、山、畑、ホテル、ビルといった、
不動産の種類別 などなど、
多くの分類の仕方があります。
そして、その各分類別に
それぞれ専門の不動産業者がいます。
要するに、
不動産業者といっても、
万能とは限らないし、
全ての取引を
業務としているわけではない、
ということです。
リノベーション住宅(一戸建て)を
取り扱う不動産業者が少ないことを、
お伝えしてきていますが、
これは、
リノベーションマンションの
取り扱いに比べて、
一戸建のノウハウや知識が
十分でないという理由もあるのです。
一戸建ての実家を売却するときには、
当たり前のことではありますが、
一戸建ての取引に詳しく、実績があり
得意な業者に依頼するべきです。
実家の近くに昔からある不動産会社、
というだけで、
安易に売却を依頼すべきではありません。
少なくとも、
一戸建ての売買が、
その会社の主要な業務内容なのか?
ということは、最低限は確認すべきです。
地元不動産業者といっても、
アパートや賃貸マンションの賃貸管理や、
地主向けの業務が
専門だったりすることもよくあります。
不動産業者は、
宅建業の免許があれば、
どんな不動産も取り扱いができますが、
自分の目的や意向に沿った形で
進められる不動産業者を選んで、
売却活動は進めるといいですね。