農地は簡単に手放せない?種類と制限・相続国庫帰属制度を解説
不要な土地の中でも特に処分が難しいのが 農地 です。
「使わない畑や田んぼを相続したけれど、どうすればいいのか分からない」
という相談は非常に多く寄せられます。
農地は法律で厳しく利用が制限されており、不要でも簡単に売却や処分はできません。
この記事では、農地の種類や制約、そして新しく始まった 相続国庫帰属制度 を活用する方法について解説します。
1. 農地とは何か?
農地法では、農地を次のように定義しています。
「耕作の目的に供される土地、または現に耕作されている土地」
つまり、田んぼや畑だけでなく、果樹園や家庭菜園なども農地に含まれる場合があります。
重要なのは 「農地として利用されているかどうか」 であり、登記簿や現況によって判断されます。
2. 農地の種類と制限
農地は大きく分けて次の2種類があります。
(1) 市街化区域内農地
都市計画の市街化区域にある農地で、宅地への転用が比較的しやすい土地です。
ただし、転用には行政への届出や許可が必要になります。
(2) 市街化調整区域・農業振興地域の農地
こちらは転用が非常に厳しく制限されており、事実上「農業以外に利用できない」ケースが多いです。
需要が少なく、売却先も見つかりにくいため、相続した人にとっては負担になりがちです。
👉 農地は「場所」によって処分の難易度が大きく変わるのが特徴です。
3. なぜ農地は手放しにくいのか?
農地が不要でも簡単に手放せない理由は、以下の点にあります。
-
・農地法による規制:転用や売買には農業委員会の許可が必要
-
・買い手不足:農業を継続する人が少なく、需要が限られている
-
・相続人の中で利用者がいない:結果として放置され、荒れ地化してしまう
農地は「売れにくい・活用しにくい・維持費がかかる」
という三重苦を抱えるケースが多いのです。
4. 相続国庫帰属制度で農地を手放す方法
2023年にスタートした 相続土地国庫帰属制度 は、不要な農地を処分する選択肢の一つになります。
利用できる条件
-
・相続や遺贈で取得した土地であること
-
・建物がないこと
-
・担保権が設定されていないこと
-
・境界が明確であること
-
・国が管理できる状態にあること
ただし、農地のすべてが対象になるわけではありません。
形状や立地、隣地との関係などによっては却下されるケースもあります。
5. 農地を相続する前に確認したいこと
-
・その農地は転用可能か?
市街化区域内であれば宅地化できる可能性があります。 -
・耕作や貸し出しの見込みはあるか?
農業委員会を通じて農家に貸す方法もあります。 -
・国庫帰属制度の利用が可能か?
要件を満たすかどうか、法務局や専門家に早めに相談するのが安心です。
まとめ|農地は特に慎重な判断が必要
不要な土地の中でも 農地は処分が難しく、特別な規制がかかる 点で注意が必要です。
-
・市街化区域内農地 → 転用や売却の可能性あり
-
・調整区域や農業振興地域 → 売却・転用が極めて困難
-
・相続国庫帰属制度 → 条件を満たせば手放すことが可能
親が元気なうちに農地の状況を確認し、家族で「残すか・手放すか」を話し合っておくことが、将来の安心につながります。