「建替えができない」実家とは?
私の実家は、いわゆる路地に面しています。
路地の突き当たりには、昔そろばん塾があり、
狭い入り口をそろばん塾に通う
小・中学生が多く行き来していました。
その頃はなんとも思わなかった
そろばん塾ではありますが、
社会人になり、
不動産の仕事に携わるようになってから、
道路からの入り口が狭い住宅は、
建て替えができず(再建築不可)、
普通に建替えができる土地よりも
価値は低いことを気づきました。
もう少しだけ詳しく言うと、
4m以上の幅の道路に
敷地が2m以上接していないと、
建築基準法という法律の基準で
建替えができないのです。
建替えができないということは、
将来的な土地の利用が低く、
売却しようと思っても買い手はつきにくいか、
あるいは
相場よりもかなり低い金額で
取引されることになります。
そもそも、
そんな建替えができない土地に、
なんで建物が建っているのか?
という疑問があると思います。
建築基準法は昭和25年に
制定された法律ですが、
その昔はその基準を無視して
建築が横行されていたことも
多かった時代のようでした。
事実、私は平成4年から
不動産業に携わっていますが、
この時点でも基準に外れた建物が
実際に建築されていましたから、
その昔は極端にいうならば
「見つからなければなんでもあり」
のような時代だったんだろうと感じます。
その為、先に挙げたような道路に
2m以上接していない実家も意外に多く、
売るに売れない場合も多いのです。
不動産や建築の仕事に携わっていれば
わかることではありますが、
相続して初めて気づく方も実は多く、
実家を売却して
まとまった現金に変えようとしたら、
売れずに困ってしまったというような
お話もなきにしもあらずです。
では、こういった物件は
相続したらどうすればいいのか?
結論から言うと、
建替えはできませんが、
売ることも貸すこともできるので、
ご自身のライフプランに合わせて、
売るか、貸すかを
選択することになるのかと
私は思います。
建替えができなくても、
リフォームして住み続けたり、
人に貸して
賃貸収入を得ることはできます。
何も問題がない物件よりも、
金額は相場の半値くらいにはなりますが、
投資用の割安物件として、
不動産投資家が買って、
貸すケースも多いです。
またそういった
道路にあまり接していない物件は、
隣接している土地の所有者にとっては、
自分の土地と合わせると
ひと続きの広い土地になるので、
隣の土地所有者が買うケースもありますね。
賃貸活用については、住宅のほか、
事務所、倉庫、コミュニテスペース、
グループホームなどの福祉施設
といった利用の仕方や、
今注目されている民泊への転用なども
考えられます。
勝手知ったる実家ですので、
売るにも貸すにも、
一番のセールスマンはあなたです。
今まで過ごしてきた日々や
ライフスタイルを振り返り、
それを次に利用される方のために
生かしてあげられてはいかがでしょうか?
それこそ建替えができず、
相場より価値が低い実家を宝にできるのは、
実家の良さを知っている
あなただけだと思いますよ。