高齢の親が実家を売却する時の注意点
昨日受講した宅建講習は、
5年ごとの講習ということもあり、
税制や法律などの改正確認や
知識のブラッシュアップができました。
その講習では、
様々なケースでの紛争事例が紹介され、
取引上の注意点をお話しいただきました。
不動産業界に28年も
身を置いている私ですが、
この取引事例を見ていると、
悪質な取引がまだまだたくさんあって、
不動産で悪さする人は絶えないんだな。。
とつくづく感じます。
業界の悪しき習慣を終わらせようと、
気持ちを新たに引き締められた次第です。
さて、そんな紛争事例の中で、
認知症の親が売主である
売買契約の事例が紹介されました。
売買契約の際に、
娘の元夫と司法書士が立ち会って、
認知症の父が所有する家の売買契約を
進めた事例です。
売買契約して、
いざ明け渡す時になって、娘から、
・父は売却する意思はなく、
売買契約していないと思っている、
・売買契約時には、
通常の判断ができないほどの
認知症状だったため、契約は無効である、
との主張があったとのことです。
契約時には、司法書士も立ち会って、
売却の意思確認をしたそうですが、
言動におかしなところもな買ったので
売買契約を進めていったとのことでしたが、
結論としては、
この売買契約は無効になったそうです。
売買契約時の父親の話の受け答えは
スムースだったのですが、
医師からは、売買契約前の数ヶ月前から、
十分に物事を判断できない状態と
診断されていたそうです。
そもそも、
なぜ売却する話になったのかというと、
娘の元夫が悪意を持って、
父親に家を売らせようとしていたため、
とのことでした。
この紛争事例から学んだことは、
きちんと話せるからといって、
そのまま高齢の親が言っていることを
鵜呑みにはできない
ということです。
この紛争事例は、
売買契約後3ヶ月後に
成年後見契約をしたことから、
売買契約時には
すでに判断能力がなかったのでは?
と推測され、
契約無効の判決が出たとのことです。
高齢者が売主の不動産売買は、
多く取引されていますが、
判断能力の有無は
もっとも重要な確認事項です。
講習では、
判断能力の有無を確認する方法例として、
以下のことが挙げられました。
・複数の人間が別の時間に面談する。
・売却の目的、理由、売却代金の使い道
売却後の転居先、朝食のメニューなど、
はい、いいえ、でこたえられない質問を
さりげなくしてみる。
・質問に対して、論理的な回答がない、
同席した親族が回答を誘導している、
ことがないかチェックする。
いくら本人が大丈夫と言っても
安易には受けとらず、
家族や関わる介護・医療関係者などにも、
しっかり状況を確認して、
高齢の親の売却意思は確認するべきですね。