成年後見制度で、実家を売却するときの注意点
実家の売却等を考える際、
親が認知症等で
判断能力がなくなった場合は、
成年後見人を立てて、
実家の売却等を進めて行くことができます。
成年後見制度は、
実家が空き家のまま放置させない
有効な手段の一つではありますが、
利用する人それぞれの事情により、
メリット・デメリットはあります。
このブログでは、
私が考える成年後見制度の注意点を2点、
お伝えします。
まず、根本的な注意点として、
後見人が
信頼できる人かどうかです。
職務として司法書士が
成年後見人を務めることは多いですが、
司法書士といえど、
いろいろなタイプの司法書士がいます。
また司法書士でないにしても、
親や家族の意志や想いを的確に汲みとって、
行動・実現できる人が
後見人としてはふさわしいと私は考えます。
私も業務の中で、
司法書士の方と関わることは多いですが、
杓子定規で業務を遂行する人や、
顧客の気持ちを第一に考える人まで、
様々なタイプの方がいらっしゃいます。
人柄として、合う、合わないも当然あります。
人間関係を重視する職務だけに、
本当に信頼できる人、
想いを汲んでいただける人を、
後見人としては立てたいところです。
もう一つの注意点は、
成年後見制度は、
財産や権利を守る制度
であるということです。
基本的に成年後見人が行う行為は
裁判所の許可を必要とします。
実家の売却なども当然裁判所の許可が出て、
初めて後見人がその手続きを進められます。
裁判所の基本的な許可基準は、
判断能力がない親の財産や権利を
守ること、減らさないこと、
不利益にならないことです。
従って、
単に誰も住まないから売却しますでは、
親の財産を減らす、住む場所をなくすと
捉えられるので、許可が出にくいです。
つまり売れないということです。
もっと財産を持つ親の立場に寄り添った、
不利益がない理由が求められます。
具体的には個々に違ってくるので、
一概にはいえませんが、少なくとも、
身内でまとまったお金が必要だからとか、
売却資金を活用してを起業するといった
自分本位の理由では売れないということです。
財産を守るという意味では、
成年後見制度は有効な手段ですが、
財産を活用するという趣旨では、
注意が必要です。
実家を空き家のまま放置させることは、
家族や身内にとっても、
また実家の周囲の人にとっても、
防犯・防災上決して良いことはありません。
成年後見制度の趣旨を汲みとりながら、
成年後見業務に携わる
専門家の意見を踏まえて、
有効な実家の空き家対策を
考えていきたいところですね。