報酬が安いから、不動産業者が動かないのです。
平成29年6月5日の新聞記事に、
注目のニュースが掲載されました。
(産経ニュースより)
「空き家取引活性化へ
仲介手数料の上限緩和
国交省が告示改正を検討」
詳細はこちら↓
http://www.sankei.com/politics/news/170605/plt1706050006-n1.html
今後も増え続ける
空き家の有効活用に向けて、
不動産業者の仲介取引を
活性化させるのが狙いとのことです。
記事にもありますが、
不動産業者の仲介手数料は、
売買金額に応じて決まり、
売買金額が高ければ
仲介手数料も高くなります。
報酬額の計算式は以下の通りです。
(いずれも税別です。)
◉売買金額 200万円以下
報酬額 売買金額×5%
◉売買金額 200万円超〜400万円以下
報酬額 売買金額×4%
◉売買金額 400万円超
報酬額 売買金額×3%
例えば、売買金額が300万円の場合、
300万×4%=12万円(消費税別)
となります。
告示改正は、
400万円以下の空き家取引を対象に、
現状調査などの経費分を
上乗せする案が有力とのことです。
このような記事を見ると、
「結局、不動産業者はお金で動くんじゃないか!」
「社会に貢献したいとか言っても、結局お金か!」
と言いたい人もいるでしょう。
しかしながら、
日本の空き家問題が進まない大きな理由に、
宅地建物取引業法に定められた
「報酬」規定があるのは、
事実だと私は思います。
現在空き家問題といわれている対象物件は、
地方の物件が多いですが、
その空き家の所有者は
首都圏などの大都市に暮らす方が
多いのが実情です。
空き家がある地元の業者に
依頼できるなら良いですが、
現在住んでいる大都市圏の業者に依頼すれば、
現地調査に行くにしても、
相応の費用と時間がかかります。
新幹線や飛行機で行く場所も多く、
そのような場所の売買相場価格は
大都市圏に比べると
格段に安いことも多々あります。
前述した300万円くらいの
一戸建てや土地の売買も多く、
行って帰ってくるだけで、
報酬額と同等になることも
多々あります。
不動産会社それぞれの
事業戦略によりますが、
大都市圏の方が移動も容易だし、
売買金額も高いので、
必然的に大都市圏の物件を中心に
扱う方向になるはずです。
この告示改正による報酬額改正で、
どこまで効果があるのかは、
まだまだ未知数だと思います。
報酬額が上がっても、
距離のリスクは無くなりません。
移動時間が多く取られるのは
変わりませんから、
そこまで時間を割いて、
遠方の物件の取り扱いをするのか?
不動産業者の事業戦略にも
大きく関わってくる問題です。
少子化が進む現在でも、
住宅建築は未だ抑制されない現在、
それほど難しく考えなくても、
今後空き家が増えて行くのは
容易に予想できます。
日本の空き家問題を抑制・解決する
大きな策の一つとして、
大いに注目したいところです。